相続手続きの流れについて
被相続人が亡くなって、しなければならないことは沢山あります。
ここでは、比較的後回しになりがちな相続手続きの流れについて説明します。
簡単に図にすると、以下の通りです。
基本的な流れになりますので、被相続人や相続人によっては少し異なる可能性があることにご留意ください。

基本的な相続の流れは、おおきく分けて6つのステップがあります。時間も手間もかかりますし、平日しか行うことが出来ないものもあります。
①相続人の調査
②相続財産の調査
③遺言書の捜索
④遺産分割協議
⑤遺産分割協議書の作成
⑥相続財産の名義変更
①相続人の調査
まずは、誰が相続人になるかを確定させる必要があります。
思い込みではなく、被相続人の生まれてから亡くなるまでの一連の戸籍謄本を確認し、場合によっては父母や兄弟姉妹の戸籍謄本も確認しなければなりません。
被相続人の戸籍謄本を調査していると、前婚の配偶者との間に子がいる、と判明することもあります。その子のことを全く知らなくても、法律上はその子も相続人になりますので注意しなければなりません。
②相続財産の調査
次に、相続財産の調査です。被相続人の資産のほか負債がないかも調べましょう。
普段使っている銀行口座や、自宅はすぐに調査出来ると思いますが、全ての資産・負債を明らかにすることは案外難しいものです。
銀行の通帳の入出金を見て、他に口座を保有していないか、銀行借入などがないかをある程度調べることも出来ます。
不動産や自動車なら、毎年郵便で送られてくる納税通知書を見れば、どのような不動産や自動車を所有しているかが分かります。
また、郵便物の内容から、取引している金融機関や証券会社が判明することもあります。
ある程度調べつくしたら、財産目録を作成しておきましょう。どういった資産があり、どれくらいの価値があるかをまとめておくと役に立ちます。
③遺言書の捜索
相続人や相続財産の調査と同時に行いたいのが、遺言書の捜索です。
遺言書を作成したことを相続人の誰かが聞いていればいいのですが、誰にも話さずに遺言書を作成しているケースもあります。
よくある遺言書の保管場所は、貴重品入れ、仏壇、タンスのなか、銀行の貸金庫などです。
自宅で保管している自筆証書遺言書と秘密証書遺言の場合は、検認手続きを受ける必要がありますので、封緘されている遺言書は勝手に開けてはいけません。検認手続きを受けないと、罰則が課される可能性がありますので、注意しましょう。
④遺産分割協議
遺言書がない場合や、遺言書があっても相続人全員で協議する旨で合意した場合は、遺産分割協議をすることになります。
ただし、相続放棄をした人は、相続人ではなかったものとみなされるため、遺産分割協議には参加しません。
まず注意しなければならないのは、相続人全員の参加が必要なことです。被相続人の前配偶者との子も相続人ですので、たとえ見知らぬ間柄でも、その子を含めて遺産分割協議をしなければなりません。
また、利益相反にならないように注意しなければなりません。未成年者が相続人になると、その法定代理人である親が、未成年者の相続人の代わりに遺産分割協議をすることになります。しかし、その親も相続人になる場合は、利益相反にあたることから、未成年者のために特別代理人を選任してもらう必要があります。
例えば、父・母・子(未成年)の家族で、父が亡くなったとします。相続人は母と子になります。母が子の代理人として遺産分割協議をすると、「子は未成年だし、全て私(母)が相続するようにしよう」とすることが出来てしまいます。母の利益と子の利益が相反しているといえます。
こういったことを防ぐ為に、子のために特別代理人を選任してもらい、遺産分割協議をすることになります。
ちなみに、遺産分割協議がまとまらなかった場合、裁判となることもあります。詳しくは、「遺産分割協議がまとまらなかったら?」をご参照ください。
⑤遺産分割協議書の作成
遺産分割協議の結果を、書面に残しておくべきです。後から協議を蒸し返すことを防ぐ意味合いがあります(相続人全員の合意があれば、再度協議して財産配分を決め直しても構いません)。
ここでも注意点があります。遺産分割協議書は、参加者全員の署名・押印が必要で、実印を押すことが強く望まれます。また、印鑑証明書も準備しておきます。
⑥相続財産の名義変更
遺言書や遺産分割協議書の通り、相続財産の名義変更を行っていきます。
銀行や法務局の手続きなどは平日しか出来ないので、普段お仕事をされている方が手続きをすることは少し面倒かもしれません。
時間も手間もかかりますし、手続きする場所も様々です。ご高齢の方にとっては非常に大変な作業になることが予想されます。そこで、行政書士などの専門家に名義変更を依頼することも検討しても良いと思います。
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