被相続人が亡くなり、身の回りの物を整理していると、遺言書が見つかることがあります。
遺言書が1通しかないのであれば、その遺言通りに遺産分配を行えば良いのですが、遺言書が複数見つかることもあります。
まず、遺言書を複数作成することは問題ありません。しかし、前の遺言書と後の遺言書で、遺言内容が抵触している部分があれば、その部分は後の遺言書が有効になります。
例えば、以下の遺言書が見つかったとします。
【令和元年1月1日付】
①〇〇銀行の預貯金はAに相続させる。
②✕✕証券の株式はBに相続させる。
【令和5年1月1日付】
①✕✕証券の株式はAに相続させる。
令和5年1月1日付の遺言内容は、令和1年1月1日付の遺言内容と抵触しています。この場合は、後の遺言書である令和5年1月1日付の遺言内容が有効となり、✕✕証券の株式はAが相続することになります。
なお、令和5年1月1日付の遺言書では、〇〇銀行の預貯金については記載されていませんので、前の遺言内容が有効となり、〇〇銀行の預貯金はAが相続することになります。
もし遺言書が複数発見された場合は、落ち着いて内容を確認し、遺言者の真意を考えつつ遺産分配を行う必要があります。
遺言書を既に作成している人が、再度作成しようとする場合は、前の遺言書を破棄するか(自宅保管している自筆証書遺言か秘密証書遺言の場合)、前の遺言内容は全て撤回する旨を記載するほうが好ましいです。
「遺言書が2通見つかった!」

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